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AB! 第一話「Departure」2/4

 前回→AB! 第一話「Departure」1/4

 

 オレは柔らかいベッドの中で目を覚ました。
「ここは……」
 白いカーテン。消毒液の匂い。外から聞こえる若い人のたくさんの声。チャイムの鐘。どうやらここは保健室のようだ。保健室? なんでオレはこんなところにいるんだろうか?
 『――ハンドソニック――』
 そうだ! オレはアイツに心臓を一突きにされて……
「わあっ!」
 一気に恐ろしくなり胸をぺたぺたと触ってみたが、しかしどれだけ触ろうとも穴は開いてないようだった。呼吸が荒く動悸が激しくなるのが自分でも分かる。しかしその時に感じていた激痛はないようだ。
「生きてる……? あんな激痛だったのに……」
 あれは夢だったのか? いやまさか。何か、何かないのか? オレの今の状況を納得させるものが。
「あっ……」
 そばに置いてあったイスにYシャツが置いてあった。まるめてあって小さくなっているが、少し赤い色が見える。そして今まで意識してなかった血の匂いがただよっている気がした。
 なんともなしにYシャツを手に取ってみる。持ち上げてみれば、蛇口から水が出るような音がして大量の血が下へ落ちていく。
「うわあっ」
 不気味なYシャツをそのまま放り投げた。
「クソッ、クソッ! よくわかんないけど、こんなところにいちゃヤバい!」
 危険を感じた半裸なオレは慌てて血のついてない上着を羽織り、靴を履いて部屋を出ようとする。しかしオレが扉まで行く前に扉が開いた。
 昨日の奴と同じ青い髪をしているが全くの別人のようだ。軽薄な雰囲気はまるでなく、好戦的な表情でオレを睨んでいた。そして何よりも恐ろしいのは手にハルバードのような槍を持っていたことだ。
「(なんだコイツ……)」
 ソイツはハルバードを弄びながら一歩一歩とオレに近づいて来る。これじゃあ昨日と同じだ。ヤバい! なんとかしないと……。
「貴様か。ゆりっぺを侮辱し、入隊を断ったという輩は!」
 ソイツはハルバードを突き付けてくる。オレはなんとか気をそらそうと必死になっていた。
「お、おい、待てよ。落ち着けって」
「死ぬか?」
「あぁ~それね。なんだよ、はっはっは。面白いぜ。死ねない世界のジョークな? センス良いよ」
 しかしオレに必死の努力は報われず、ソイツはまなじりを上げた。
「ひゃっぺん死ね!」
 それを言うか言わないかのところで切りつけられた。オレはそうそうに意識を手放し、されるがままにされていたと思う。宣言通りに100回 死んだような気もするし、そうじゃない気もした。
「ふん……次ゆりっぺを侮辱したら、また舞うことになるぜ」

 数十分後、硬い床でオレは目を覚ました。即座に切りつけられた時の激痛を思い出す。
「殺す気かぁっ!……ってすでにツッコミがツッコミじゃねぇ……」
 しかし何度も殺され、死んでないとなれば流石にオレも信じるしかない。ここは【死なない世界】なんだと。
「っていうか何がこの世界のジョークだよ。死ぬほど痛いのに死ねないなんて……最悪だ」
 そしてオレはこれからどうすればいいんだろう。オレは武器を持っていないが、会った奴らは銃や剣、ハルバードなんかを持っている。この世界はオレにとって非常に危険だ。そう思ってた時、ゆりっぺと呼ばれた彼女の言葉を思い出す。
 『ココは死んだ後の世界。何もしなければ消されるわよ』
「そうだ、消されればいいんだ。そうすれば こんな世界からおさらばできる。でも、どうすればいいんだ?」
 とりあえず何をするにも保健室から出なければ始まらない。オレはドアを開けて廊下を歩きつつ、どうやったら消えるのかを考えていた。
 『私を信用しなさい。私はあなたの味方よ』
 ……いや、アイツは信用できない。銃を女の子に向けるような奴であり、軽薄で怪しげなあの男も仲間のようだし。
「どこかに信用できそうな奴はいねぇのか? ……あ、そうだ! 大人を探そう。っていうか大人はどこだよ。先生はっ?」
 そうして校内を彷徨い続けた結果オレは校長室に来ていた。
「校長にでも訊いてみるか……」
 少し緊張するけど、一番偉い先生ならいろいろと知ってそうだ。そう思ってオレはドアノブを回そうとした。
 しかしノブは途中で止まって扉が開かない。代わりにカチッという音が聞こえてそちらを見てみた。
「へ?」
 巨大な金属製のハンマーだ。そう思った瞬間に体中に衝撃が走り、窓を突き破って外へ放り出されていた。
 そしてオレはこの世界で何回目かも分からない死を迎えた。いやそれとも、この世界で死という表現は適切ではないのだろうか。

 オレは男女の声で目を覚ました。
「そうだなぁ……じゃあこれはどうだ? 【死ぬのはお前だ戦線】」
「あたしが殺されるみたいじゃない」
「いやぁもちろん相手はあの女だ」
「じゃあこっち見なさいよ。【死ぬのはお前だ戦線】」
「うっやべえ。……確かに俺が殺されそうだわ」
「はぁ……他には何かないの?」
 少し体を起こして周りを見てみれば、この部屋にいる人間はけっこう多い。10人くらいいる。そしてオレはソファーで寝かされていた。
 2人の会話が終わるとゆりっぺと言われていた女が高価そうな革椅子でふんぞり返りながら、他の連中に促していた。会話を察するに初代【死んだ世界戦線】現【死んでたまるか戦線】の名前を決めているらしい。【走馬灯戦線】や【決死隊戦線】の他【絶対絶命戦線】【無敵艦隊】【玉砕戦隊】【ライト兄弟】など徐々にテキトーな名前が挙がっている。
「ねぇ、その人もう起きてるんじゃない?」
「え? あぁ、気がついた?」
 気弱そうな少年が気づき、ゆりっぺと呼ばれる女がそう言ってオレを見れば、他の連中も気づいたようにオレを見た。
「そうだ、こいつにも考えさせてあったのよ。時間はたっぷりあったわ。聞かせていただきましょうか?」
 そう言ってオレに詰め寄ってきた。
「何を?」
「【死んでたまるか戦線】に代わる新しい部隊名よ」
 そう言われてもオレにはここの名前なんてどうだっていい。オレは呆れ、冷めた口調で言ってやった。
「勝手にやってろ戦線」
 オレが言うことに怒ったのはゆりっぺと呼ばれた女性ではなく、木刀を持って野太い声の奴がこっちに歩み寄ってきた。髪色は黒。
「ほぅ……ゆりっぺに刃向かうとはいい度胸じゃねぇか」
「勝手にやってろって言ってるんだよ!」
「んだと!」
「なんなんだよお前ら……。オレを巻き込むなよ! オレはとっとと消えるんだっ!」
 木刀を持った奴が反応する前に、メガネを指で押し上げてる奴が話してきた。髪色は黒。
「消えたい……? 今ココに存在しているのにですか?」
「あぁそうだよ!」
 オレがそう答えれば、ゆりっぺが「その説明はしたわ」と補足した。
「抗いもせず、消えることを望むと?」
「あぁ!」
「抗いもせず、ミジンコになると?」
「あぁ!……へ? ミジンコッ!?」
 オレが消える覚悟を聞かれるものとばかりに適当に肯定したら、予想外の質問に戸惑った。それを見て木刀を持った奴がにやにやしながら話す。
「魂が人間だけに宿ると思ってんのかよ、てめえは」
「あさはかなり」
 ミジンコになるという話も驚きだったが、影しかないと思っていた空間から声がしたのも驚いた。よく見れば、貞子のように長い黒髪の女子生徒が部屋の隅の影にたたずんでいた。それに気を取られていると大柄な奴も話に加わる。髪色はこげ茶。
「次はフジツボかもしれん。ヤドカリかもしれん。フナムシであるかもしれん」
「はぁ? そんなまさか!」
 そう言えば、ミジンコになると言ったメガネが言う。
「なぜ浜辺に集中しているのかとツッコム余裕もなさそうですね。ちなみに意味なんてありません」
「ほぅらとっととこっから出て行けよ。天使の言いなりになって無事成仏するんだろぉ? フジツボになって人間に食われでもするんだな。幸せな来世じゃねぇか」
 フジツボ……? 木刀にそう言われて想像してみた。……なんだか気色悪い。
「えぇ!? フジツボって食べられるの?」
「食用のものもあります」
「知らなかったぜ」
「あさはかなり」
 そうみんなが好き勝手言い始めた時、静観していたゆりっぺがたしなめる。
「まあまあみんな。そんな追い出すようなマネはしないであげなさい。かわいそうに」
 そして仕切り直すように一呼吸いれ、しゃべり続けた。
「この我が……あぁえぇと、今なんだっけ?」
「【フジツボ戦線】」
「そう、我がフジツボ……」
 そこまで言いかけて間違いに気付いたゆりっぺは、それを教えた木刀の顔面を無言で顔面に蹴りを入れた。
「元に戻す! 【死んだ世界戦線】」
 「いい蹴りだったぜ……」と伸びている木刀をオレはつとめて視界から排除した。
「この戦線の本部にいる間は安全なんだから、彼もそれを知って逃げ込んできたんでしょ」
「いや知らないし。入った途端にふっ飛ばされたし。ていうか来世があったとして人間じゃないかもしれないなんて冗談だろ?」
 オレがゆりっぺにそう問えば、大柄な体のヤツが答える。
「冗談ではない」
「だって、確かめられないじゃないか。誰か見てきたのかよ?」
「そりゃあ確かめられないわよ。でも仏教では人に生まれ変わるとは限らないと考えられているわ」
「そんな……フジツボだなんて……」
 消えるのは良い。ただ、その後にフジツボになるかもしれないなんて……。
「まあ宗教なんて人が考えたものなんだけど……。でもねよく聞きなさい。ここが大事よ。あたしたちがかつて生きていた世界は人の死は無差別に、無作為に訪れるものだった。だから抗いようもなかった。でもこの世界は違うのよ。天使にさえ抵抗していれば存在し続けられる、抗えるのよ」
「でも待て。その先にあるのはなんなんだ? お前らは何をしたいんだ?」
「私達の目的は天使を消し去ること。そして、この世界を手に入れる」
「え……?」
「まだ来て間もないから戸惑うのも無理ないわ。順応性を高めなさい、そしてあるがままを受け止めなさい」
「そして……戦うのか、天使と?」
「そうよ……共にね」
 そう言ってゆりっぺは手を差し出した。そして仲間のヤツらも静かに見守っている。
 オレは手をとるかどうか迷っていた。オレには記憶がないから。今の話が正しいかそうでないのか、そしてオレも戦うのかどうか。そんな判断はつかなかった。

 そんな空気をぶち壊すように扉が開け放たれた。そちらを見てみるとハルバードの男が立っていて、そして巨大なハンマーが迫っていた。
「早まるな、ゆりっpわはああああああああああ」

「あほだ」
「自分の仕掛けた罠にハマってやがる」
「(オレもああなってたのか……)」

 オレは自分と同じ末路を送った男を見て、そう思っていた。


 ◇◆◇◆◇

 ※以下後書き、ネタバレ注意※
 ドラッグすると見えます。

 今日はヴァイスやってない知人が見るということで、小説を急いで上げてみました。
 分母が増えてますが気にしないでくださいw やっぱり3分割じゃ無理でしたw
 オペレーショントルネードが遠いんですよね。もう2話は6回、3話は4回みちゃいましたよ。1話? もう数えてないですww

 いやー、いろいろと難しいですね。ゆりの過去とか、岩沢の消失とか、どうするんだろと思いますw
 それに、この文も修正してるんですけど、全然 直せなくって。
 「っ」とか「……」とかで印象が全く変わるんですよ。
 みなさんもなんか違和感を感じたらコメント・メールでお願いします。
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ビークル@ザマソー小説部

Author:ビークル@ザマソー小説部
 ようこそ!管理人のビークルです。
 このページはヴァイスシュヴァルツ好きによる、ヴァイスシュヴァルツの解説ページです。
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※掲示板→http://beeclezamaso.blog136.fc2.com/blog-entry-372.html
※週一ペースで頑張り中

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