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【短編小説】活かせない教訓

 何もかもを失った。
 目が覚めた時には真っ赤な炎しか見えなかったのを覚えている。無我夢中で窓を蹴破って脱出していた。
 手元の遺骨を見る。1階で寝ていた俺は助かり、2階で寝ていた家族は死んだ。それだけだった。
 そして俺は、何もかもを失った。
 「火災報知機を付けましょう」という広告が目に痛かった。

 ………………
 …………
 ……

「おはよう」
 俺は夢から目を覚ました。とても大切な何かを失ったような悪夢だった気がするが、目の前には家族の笑顔がある。それだけで十分だった。
「いってきます」
 俺はいつものようにコートを着て仕事場へ行く。古臭いエアコンでは外の冷気を消しきれず、指をかじかませながらも仕事をしていた。
「ただいま」
 無能な上司に憤るのはいつものことだ。しかしハラワタが煮え繰り返る思いがあっても、雪がしんしんと降る夜は体が冷える。俺はストーブで暖を取りつつ、酒を呑んで忘れることにしていた。それが最近の日課だ。
「ふぁ~あ」
 気が付いたら眠くなっていた。そのまま横になって眠る。酔っ払っていて寝ること以外は何もかも忘れていた。歯磨きのこと、散らかしっぱなしのゴミや食器のこと、明日の仕事のこと。

 しかしストーブのことだけは忘れてはいけなかった。
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